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クローズアップ
CHICAGO & ボブ・フォッシー page2
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たとえば・・・

◆ ダンス好きなら青山航士さんのずば抜けた身体能力に目がとまらない方はいないと思いますが、その青山さんが「要求される身体能力が半端じゃない」と語るフォッシー・スタイル。一体どんなものなのか、解説をお願いしたところ、「たとえば」と上の画像のように立ち上がって動いて見せてくれました。思いもよらない展開にファン一同瞬き禁止で凝視しましたが、青山さん周辺だけが一瞬でスタイリッシュな空間に。とに~かくカッコイイんです。
◆フォッシー・スタイルが要求するもの
 うろたえながらも聞いたお話では、フォッシーの振付には大きなジャンプや派手な回転技などがあるわけではなく、オーディションでもこの写真のように腰を落として横を向いた状態から「肩だけ回す」「腕だけを伸ばす」「伸ばした腕の手首だけを動かす」など、他の部分は完全に静止させて、指定された箇所だけを指定された通りに動かす、という課題があったそうです。動かしている部分以外は微動だにしない青山さんの姿が、精巧なアンドロイドのようにも見えるのが魅力的でした。生身の人間の体なら、どこかを動かせば他の部分も多少は動くのが普通なので、身体の完全な制御力が要求されるということでしょうね。動かしているのは体の一部だけなのに、一つ一つに完璧なバランス感があり、まるで動くたびに空間ごと入れ替わる立体作品のようでした。

◆落ちない灰
 また今回「目からウロコ」がバラバラと音を立てて落ちたのが、フォッシーの世界の小道具として欠かせない煙草のお話です。
 後継者たちの労作である映画『CHICAGO('02)』や、ミュージカル"FOSSE('99)"でも効果的に使われ、受け継がれている煙草、だけどこの煙草の灰が床には落ちないのだそうです。それはつまり、フォッシーの振付を忠実に踊りきれば、殆ど体の上下動がない、ということ・・・と語る青山さんには、このアメリカの財産を受け継ぐ者としての気概が感じられました。ヨーロッパで生まれたクラシックバレエは上へ上へとより高く重心を移動させる動きを見せ場として創り上げていますから、フォッシーの独自性がよくわかる解説ですね。やっぱり青山さんに聞いて正解でした。
◆ 究極の舞踊
 こうして解説を聞くと、不思議と日本舞踊に共通する感覚があるのに驚きます。上下動を極限まで制御するところもそうですが、オーディションの課題からは日本舞踊の大曲『鏡獅子』を思い出しました。一人の舞踊手がたおやかな女性と、精霊の宿る獅子頭を同時に演じ分けるこの演目、踊り手はその右腕だけを独立した生き物のように動かして、精霊が宿り動き出す獅子頭を表現します。
 青山さんの静止する身体から切り離されたように、言葉の通りに動く右腕を見ていると、洋の東西を超えて、「究極の舞踊」というのは同じものを要求するんだと思えました。
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